定期的に分配金をもらえる米国ETF。
SPYD、HDV、VYM、VIG、QYLD、JEPIなどいろいろな種類があってどれに投資しようか迷ってしまいますよね。
今回は、VYM(高配当ETF)とVIG(連続増配ETF)を比較検証していきます。
この記事では、VYMとVIGの
- 分配利回り
- 増配率
- パフォーマンス
- 暴落耐性
の推移を比較することで
- VYMとVIGの特性の違い
- VYMを買うのに向いている人
- VIGを買うのに向いている人
がわかります。
米国配当系ETFのどれを買おうか迷っている方の助けになると思います。ぜひ最後までご覧ください!
VYMとVIGの基本情報
まずは基本情報から確認していきましょう。
名称 | VYM | VIG |
---|---|---|
正式名称 | バンガード・米国高配当株式 | バンガード・米国増配株式ETF |
投資対象銘柄 | 配当利回りの高めな米国大型株式 | 10年以上連続増配している米国中型大型株 |
連動する指数 | FTSE ハイディビデンド・ イールド・インデックス | S&P U.S. ディヴィデンド・ グローワーズ指数 |
組入銘柄数 | 約400銘柄 | 約180~250銘柄 |
設定日 | 2006/11/10 | 2006/4/21 |
経費率 | 0.06% | 0.06% |
決算回数 | 年4回(3月/6月/9月/12月) | 年4回(3月/6月/9月/12月) |
運営会社はどちらもバンガード。
経費率もどちらも0.06%と低い水準です。
VYMが配当利回りが平均より高い大型株に投資するのに対し
VIGは10年以上連続している中型・大型株に投資する、という違いがあります。
基本情報を確認できたところで、次に配当投資をするときに重要な分配利回りの推移を比較します。
①分配利回り
2007年から2021年までの分配利回りを比較してみます。
分配金利回りは設定来VYMの完勝という結果でした。
VYMは高配当株ETFですから順当な結果ですね。
VYMは特に直近の10年間、3%台で安定しているのがいいですよね!
一方、VIGは1%後半~2%前半で推移。それほど分配金は高くないことがわかりました。
②増配率
次に増配率です。
どちらも多くの分配金を受け取ることが目的のETFですから、増配率(前年よりどれだけ分配金が増えたか)を知ることは重要です。2008年から2021年までのデータを比較します。
設定来、増配率は同じような年もあれば乖離が大きい年もあり、どっちもどっちだったことがわかります。
増配率の平均を取ってみるとVIGに軍配が上がりました。
※平均:すべての年の増配率を足して年数で割った値
VIGは連続増配株ETFですから、これも順当な結果といえると思います。
③パフォーマンス
次は、パフォーマンスの比較です。
- キャピタルゲイン(株価の上昇/下落による損益)
- インカムゲイン(分配金による利益)
- トータルリターン(キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた損益)
を見ていきます。
キャピタルゲイン
ここから紹介する「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」「トータルリターン」の条件は
2007年1月から2021年12月まで、毎月月初に1株ずつ積み立て購入した場合の検証結果です。
VYMは2007年1月から2021年12月まで合計180株購入して、その合計取得価額は約11,510ドル。
株価上昇によって評価額は約20,180ドル(取得価額の約1.75倍)になり、利益は約8,670ドルという結果でした。
VIGも同様に合計180株購入して、 その合計取得価額は約14,453ドル。
株価上昇によって評価額は約30,915ドル(取得価額の約2.14倍)になり、 利益は約16,461ドルになりました。
キャピタルゲインについては、VIGに軍配ありです。
インカムゲイン
VYMは受取分配金の合計が約2,260ドル。
合計取得価額約11,510ドルに対して、分配金の利益のみで約19.6%を取り返すことができました。
VIGは受取分配金の合計が約1,834ドル。
合計取得価額約14,453ドルに対して、分配金の利益のみで約12.7%を取り返すことができました。
インカムゲインは分配利回りに優れるVYMの方がリターンが高い結果となりました。
トータルリターン
それでは、キャピタルゲインとインカムゲインを合計したトータルリターンを確認します。
キャピタルゲインに優れるVIG、インカムゲインに優位性のあるVYMですが
トータルでは、VIGの方がリターンが高かったという結果になりました。
ただし、以下のように条件が変わるとリターンもがらりと変わってくるため、必ずしもVIGの方がリターンが優れているということではありませんのでご注意ください。
購入タイミング
今回は積み立て購入の検証でしたが、一括購入ですと購入時期によって大きくリターンが異なります。
株価の変動
特に2010年以降の株価の上昇が大きいため、キャピタルゲインの差がトータルリターンに直結しました。
今後株価が横ばいや下落に転じた場合、インカムゲインの力が発揮されるはずです。
④暴落耐性
最後に暴落耐性について。
暴落が起こったときに資産の目減りをいかに抑えられるかは、長期投資家にとってとても重要な要素と考えます。
そこで、リーマンショックとコロナショックのときの株価の下落具合を比較してみます。
リーマンショック
VYMは2007年10月に高値56.53ドルをつけてから、底値となった22.45ドルをつける2009年3月までの間に
60.3%下落しました。
VIGは2007年10月に高値59.16ドルをつけてから、底値となった30.29ドルをつける2009年3月までの間に
48.8%下落しました。
コロナショック
VYMは2020年2月に高値94.86ドルをつけてから、底値となった60.07ドルをつける2020年3月までの間に
36.7%下落しました。
VIGは2020年2月に高値130.91ドルをつけてから、底値となった87.71ドルをつける2020年3月までの間に
33.0%下落しました。
以上をまとめると
というわけで、リーマンショック・コロナショックどちらもVIGの方が株価の下落を抑えられていました。
2例しかありませんが、ひとつの参考にはなるのではないでしょうか。
まとめ
簡単にまとめると
分配利回りはVYMが優れ、増配率、パフォーマンス、暴落耐性はVIGの方が優れるという結果になりました。
どうでしょう、予想通りでしたか?それとも意外でしたか?
以上の結果から、それぞれのETFを保有するのに向いている人は次のように言えるのではないでしょうか。
- 安定して3%程度の分配金が欲しい人
- トータルリターンより分配金を受け取ることを重視する人
- 株価が下落してもホールドできる人
- 将来の増配を信じて待てる人
- 分配金よりもトータルリターンを重視する人
- 株価の下落を少しでも小さくしたい人
この結果は、あくまでも過去データの検証であり、将来のリターンや優位性を約束するものではありません。
またどちらのETFが優れているかを断定するものでもありません。
個人的な投資方針
さて、この記事の筆者であるもちたろうはというと
これまでSBI証券のNISA口座で高配当株ETFのSPYD、HDVと債券ETFのAGGに積立投資していました。
利回りが低く値動きも小さいAGGをやめてもう少し利回りの高い銘柄に投資したいと思って今回の検証を行いました。
検証の結果・・・
私はVIGに投資することに決めました!
株価が高いので2か月に1株くらいしか買えないんですけどね(笑)
決断の理由は
- 分配金はSPYDとHDVで得られるので、それほど高配当でなくてもよい
- 値動きが小さいほうがよい
- 将来の増配を信じてのんびり待ちたい
といったところですね。
要は「SPYDとHDV」と「AGG」の中間あたりを狙って、AGG寄りのVIGの方が合いそうだと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考になれば幸いです!
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