みなさん一度は読んだことがあるのではないでしょうか。
投資の情報誌「ダイヤモンドZAi」
2021年9月号は、高配当株の特集ということで興味深くを読んでいたら気になる記事を見つけました。
それがこちら。
10年前(2011年6月末)の高配当株トップ25の現在の利回りと10年間の成績(株価上昇率と配当額を合わせたもの)。
これ、けっこう面白いですよね。
高配当株ランキングのTOP25銘柄のうち、実に24銘柄が10年間の成績がプラスだった、という記事。
すごいことを教えてくれた!
高配当株ランキングの上位を全部買えば絶対儲かるじゃん!
Zai最高!
ぱっと見、そんな風に心を奪われるような記事です。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
…これは調べてみる価値がありそうです。
この10年間の成績というのは、株価上昇率と配当額を合わせたもの。
株価上昇率と配当額がどんな割合なのか?
まずはここから調べていくことで何か見えてくるかもしれません。
というわけで、今回は10年前の高配当株トップ10+最高成績のソリトンシステムズについて、
10年間の
- 配当推移
- 株価上昇率
- 配当による元本回収率
- 成績(トータルリターン)
を見ていきたいと思います。
面白い気付きが得られるかも!?
ぜひ最後までご覧ください。
10年前の高配当株ランキングTOP10+1 ~10年間の成績~
10年間で株価がどれだけ上昇したかを表す数値。
0%で上がりも下がりもせず、100%で2倍になったことを表します。
10年間で投資元本を配当でどれだけ回収したかを表す数値。
100%で投資資金をすべて回収できたことを表します。
10年間で株価の上昇+配当でどれだけリターンがあったか表す数値。
キャピタルゲイン+インカムゲインのトータルリターンのことです。
0%で上がりも下がりもせず、100%で2倍、900%で10倍になったことを表します。
どうでしょう?
面白くなってきましたか?
…さて。
10年前の高配当株ランキングTOP10+1の10年間の成績を細分化してみると、いくつかのことがわかりました。
- 株価は市場平均より伸び悩んだ銘柄が多い
- トータルリターンに与える影響は、株価の上昇 >> 配当金
どういうことか、順番に説明していきます。
わかったこと①: 株価は市場平均より伸び悩んだ銘柄が多い
株価上昇率を見るときに考えておかなければいけないのが、この期間の市場平均です。
2011年は、東日本大震災があって、アベノミクスも始まる前。2011年6月末の日経平均は9785円。
2021年は、コロナショックから回復して30年ぶりの高値を付けた年。 2021年6月末の日経平均は28791円。
この10年間の日経平均の上昇率は実に194%(約3倍)
ちょっと信じられない数字ですよね。
私も2011年に少し投資をしていましたが、「1万円!?大台だ!」という感覚だったのを思い出しました。
というわけで、調査した11銘柄の中で株価上昇率が市場平均の上昇率194%に勝っているのはというと…
ソリトンシステムズ、夢真ビーネックスグループ、ヒビノの3銘柄のみ。
他の8銘柄は日経平均より伸び悩んだという結果でした。
少々乱暴ですが、各銘柄の株価上昇率から日経平均の上昇率194%を差し引いてみるとこんな感じになりました。
様相が変わりましたね。
市場の影響を無視すると、11銘柄中6銘柄が10年間の成績(トータルリターン)がマイナスとなってしまいました。
配当金はコンスタントに受け取って、投資元本の6~7割くらいは回収しているにもかかわらず、です。
10年保有してマイナスはつらいですね…。
なぜこうなってしまったのか?
利回りの高い銘柄は業績不振や財務、不祥事によって投資家から評価されずに株価が下がっている銘柄の可能性がある。
(株価下落によって利回りが上昇してことで高配当株ランキングの上位にいることがある。)
よく言われる言葉ですが、原因はこれに尽きると言っていいでしょう。
長くなりましたが、わかったこと①の結論としては
高配当ランキングの上位の銘柄を適当に買うのは危険。
なぜなら、様々なネガティブ要因を抱えている銘柄が含まれている可能性が高いから。
(ただし、TOP30を全部買うなどのように分散すれば、ソリトンシステムズや夢真ビーネックスグループのような大化け株を掴んでポートフォリオ全体の成績を上げてくれる可能性があるので、ありかも)
こんなところでしょうか。
わかったこと②:トータルリターンに与える影響は【株価の上昇>>配当金】
トップ10+1で配当による元本回収率が一番高かった夢真ビーネックスグループをもう一度見てみましょう。
配当は、2011年の7円から段階的に増配されていき、2020年には40円まで伸びました(約5.7倍)。
これによって、元本回収率は約173%にもなりました。
10年間のトータルリターンは1213%
そのうち配当が貢献しているのが173%
うーん。
爆発的に増配しているのにたったこれだけ?
高配当株投資をしている私にとっては少し残念な結果でした。
しかし…!
忘れてはいけない事実があります。
配当はすでに利益が確定している、ということです。
173%というのは、すでに元本を回収し終わり、さらに利益を伸ばしている状態。
それに対して、株価は約1040%と配当以上の上昇をしていますが、まだ利益が確定していない(含み益)状態。
同じように比べられるものではなさそうですね。
さて、わかったこと②の結論としては
リターンを大きく狙うなら配当よりも株価の上昇を狙うほうがよい。
配当は、利益こそ少ないものの受け取ったときに利益確定できるところが魅力。
どちらを狙うかは考え方次第。
10年前の高配当株ランキングTOP10の成績を調査したまとめ
ここまでの調査をまとめると
- 高配当株投資をするとき、高配当株ランキングの上位から適当に選んで買うのは危険
⇒利回りの高さに惑わされてはいけない - リターンを大きく狙うなら配当よりも株価の上昇を狙う
⇒ただし、配当は受け取ったときに利益確定できる魅力がある
いかがでしょうか。
高配当株投資をされている方は、「そりゃそうだよ、知ってた」という内容かもしれません。
ただ、データから裏付けが取れたのは興味深いものでした。
ですが。
これでは解決していないのです。
「結局、私たち高配当株投資をする人は、どうすればいいの?」
という疑問が。
私は、今回の調査でこの疑問に対する答えをひとつ見つけることができました。
その答えは、また次回の記事でお伝えしようと思います。
今回はここまで。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
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